24 May 2009

The Text of Modern HENRER -verse 4-

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「ヘンラー通信 extended remix」
あきもとキンぢ



「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8~9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。



真実は路上にある。
路上とは宇宙である。
by オレ


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verse 4

 徳島の小松島でケンちゃんというヒッピーなヘンラーと仲良くなった。徳島から高知にかけての太平洋側で、そそり立った岩を見つけては「カッコイイわぁ……」といちいち立ちどまる、クライミングが好きなナイスガイだ。「体操のお兄さん」という爽やかな仕事をしているけれど、根はDUBやディープなクラブミュージック、パーティが好きな旅人。オレとはとても気があった。

 さて、ヘンラーは基本的に単独生物だ。群れることを好まない。だからヘンラー同士で仲良くなっても、ともに行動するとは限らない。たとえばケンちゃんが歩き疲れて休憩しても、オレがとくに休憩したくないのであれば、相手に合わせることなく「じゃ、先行ってるわ」となる。逆にオレが休みたくてもケンちゃんがそうでなければ、「休んでいくから、先行ってて」てな具合。

 計1200キロを踏破するには、自分のペースをキープすることが何よりも大切なのだ。相手をリスペクトし、互いを尊重しあうということは、こういうことなんじゃないかと思う。もちろん行動をともにしたほうが互いに疲れを忘れて楽しめそうなときは、そうする。これが真の意味での利害の一致というヤツだ。

 ところが不思議なもので、とっくに追い抜いたはずの人に数日後に追いついて、野宿や休憩スポットで再会するなんていうことがヘンロ中はしばしばある。オレの歩行速度は時速約4.5キロ。日に40キロ以上歩くことも多く、平均よりもややハイペースな部類に入るのだが(別に急いでいるわけではなく、オレにちょうどフィットするペースがこれ)、その分どこかで疲労のシワ寄せが訪れ、長めの休憩を入れる必要も出てくる。しかしその間もほかのヘンラーたちはそれぞれ自分のペースで歩き続けているわけで、いつのまにやら今度は彼らのほうが先を歩いていたりするのだ。結局のところプラマイゼロってこと。個人間の差なんて瞬間最大風速みたいなもので、ちょっと離れたところから眺めてみれば、誰もみんな大差ないのだ。

 ケンちゃんとは何度もこのような再会を繰り返した。
 すでにどちらが先にいるのかわからなくなっていた徳島と高知の県境。朝、野宿地でバックパックに荷物を詰めていると、目の前の国道55号をちょうどケンちゃんが歩いている。
 ヘンラーの再会はいつもこんな感じだ。

 延々と太平洋沿いに伸びる55号には、室戸岬手前の佐喜浜港まで、真夏の太陽から避難する場所がほとんどない。ドライブなら心地よいだろうが、ヘンラーには最悪の環境だ。飲料の自販機もないので、水分補給のタイミングを誤るともはや地獄である。そんな中、オレらはつるんで歩きながら、ホリの話題で盛り上がっていた。中華のコックでデブの、あのホリだ。ケンちゃんも、当たり前のように徳島県内の野宿スポットで彼に会っていた。
 ホリが詳しいのは、どうやら喰い物カンケーだけではないらしい。野宿スポットやヘンロ小屋(地元の人が無償で提供する休憩所)情報のほか、オセッタイで安く泊まれる宿など、やたらヘンロ情報通のようなのだ。
「アイツ、いまごろどのへん歩いてっかな」

 ケンちゃんとまたまた別れ、左手に太平洋を見ながら55号を南下していく。佐喜浜港の先にある国道沿いの展望スポット夫婦岩で、タイムリーなことにホリと再会した。
 彼はだいぶ疲れきっていたが、それでもやたら情報通で、使わなくなったバスをヘンロ小屋として開放しているひとからこんなオセッタイを受けたとか、歩きヘンロがよく利用するある銭湯では野宿スポットの一覧表が配られているといった話をしてくれた。そればかりか、どこどこの寺にあるナントカは弘法大師が実際にナンチャラしたところで……と、ハンパない情報通ぶりを披露。すげぇ。ヤツの太った身体には脂肪のほかに、大容量HDDが内蔵されているんじゃないだろうか。
 まだまだ明るい時間帯だったが、今日はもうここで野宿するというホリを置いて、オレは夫婦岩をあとにした。




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NEXT・・・・・





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